2018年9月8日、全米オープンテニスの女子シングルス決勝が行われ、大坂なおみ選手(20)があのセレーナ・ウィリアムス選手に勝利し、日本勢として初めてのグランドスラムを制覇したことで話題が持ちきりになっていますね。
大坂なおみ選手の成し遂げた快挙には、陰で支え見守ってきたサーシャ・バインコーチの功績も大きいようです。
特に不安定だった大坂なおみ選手のメンタルケアにはめざましい効果があったそうです。
日本スポーツ界のパワハラや暴力指導の発覚で揺れる中、これは興味深いですよね。
サーシャ・バインコーチはどんな人柄で経歴なのかについても調べてみました。
サーシャ・バインコーチの経歴
サーシャ・バインコーチは1984年10月4日生まれのセルビア系ドイツ人で現在33歳と若いコーチです。
最近ではSNSでも「イケメン!」と騒がれているようですね。
サーシャコーチはドイツのミュンヘンで生まれ6歳の時にテニスを始めました。
しかし選手としては大きな成績を残すことができなかったそう。
原因は15歳の時にテニスコーチでもある両親を交通事故で亡くされていて、そのショックからプレイするモチベーションを失ってしまったといわれています。
さすがに思春期に両親を亡くし、コーチも失ったとなれば悲しみを乗り越えるのにかなりの期間がかかったことは想像に難くありません。
現役を退いてからはコーチ業に転身しました。
プレーヤーとして優秀だった人が必ずしも名コーチになるわけではありませんから、サーシャコーチもコーチ業の方が向いていたのかもしれませんね。早々にコーチ業に転身したことが結果的に功を奏しています。
コーチとしての実績
サーシャコーチの実績は、2007年にセリーナ・ウィリアムズ選手のヒッティングパートナーとなったことから始まります。
ウィリアムズ選手といえばサーシャコーチが就く前にもグランドスラム4連覇、またグランドスラム通算23回の優勝記録をもっているスーパープレーヤー。
ウィリアムズ選手とは7年ほどヒッティングパートナーを務めていたことから、彼女の癖や対策は万全だったのでしょう、大坂選手がウィリアムズ選手に勝てたのは、サーシャコーチの指導と、このウィリアムズ選手対策がバッチリだったのも影響しているでしょうね。
そのほかも世界ランク1位になったことのあるビクトリア・アザレンカ選手(ベラルーシ)や、同じくキャロライン・ウォズニアッキ選手(デンマーク)を『無冠の女王』から脱却させた実績は誰もが認めるところです。
大坂なおみのメンタルを強化した指導力
テニスは激しいスポーツですが、一方「メンタルのスポーツ」ともいわれていて、その長い試合時間にどうメンタルを保つかが勝利の鍵となるスポーツでもあります。
サーシャ・バインコーチのモットーが、
「全ては心から始まり、体はそれについて来る」
だということにも表れているように、このメンタルの強化とケアが素晴らしいと評価されているんですね。
サーシャコーチが大坂なおみ選手のコーチに就任したのは2017年の12月。
当時世界ランク68位だった大坂選手が2018年3月のハリバオープンで優勝し、一気に22位に上がりました。たった3ヶ月でこの伸び方はすごいですね!
大坂なおみ選手は、身体能力やプレイテクニックは申し分ない素質を持っている選手ですが、メンタルの面では不安定さやシャイな部分が目立っていたといいます。
そんな大坂選手をサーシャコーチは一つ一つ気持ちを聞き出し、イライラや弱音をすべて吐き出させたあとで、
「迷いを捨てて相手に対してがむしゃらに向かっていく姿を見せてくれ!」
「君ならできる!」
と励まし、気持ちを切り替えることで選手が強いメンタルで試合に臨めるようアドバイスするのだそうです。
今年3月のパリバ・オープンでも大坂なおみ選手と目線を合わせ、励ますような指導の様子が印象的でしたね。
サーシャコーチは赴任する前から大坂選手を知っていたそうで、
「一緒に仕事を始める前からビッグヒッターでした。この力を持ち合わせていたのです。私が彼女に与えた力ではありません」と話す。
「テニスの仕方は十分に知っていたけれど、試合中にコントロールする方法を知らなかったのでしょう。
いつトリガーを引くべきかを分からなかったでしょうし、きっとボールのペースを乱すだけで、相手にプレッシャーをかける方法もあることを知らなかった。
だから私は彼女の生の力を維持させるような努力をし、それと同時に、プレッシャーを作り出す他の方法もあることを示しました。
そういう意味でも、セレナとなおみは本当に違うタイプです」。
またなおみには、プレッシャーが良い事であると何度も伝えています。外の人々が彼女に期待しているということは、彼女のしていることが正しい証です。
期待を持たれないと、人は名も無き人になってしまいます。それを何らかの良い方法で使うべきだと彼女に伝えることができてとても嬉しいです」
引用:テニスデイリー
と選手の個性を見極め、気持ちの持って行き方などを重視してうまく導いているようですね。
大坂選手も取材で、
「もともと私はネガティブ思考な傾向があるのですが、サーシャと一緒になってから少し楽観的になったような気がします。
毎日私が楽しくいられるよう気を使ってくれます」と話していた。
さらに、「私は自分自身と戦ってしまうので、そういう意味で彼はペースメーカーになってくれています」
引用:テニスデイリー
と語っています。
以前は試合でミスが続くと落ち込みがちだった大坂選手も「彼は常にポジティブに、と。私のジョークを理解してくれるし、友だちみたい」ともコメントしています。
サーシャコーチをとても信頼しているからこそ、こうして短期間でのびのびと大きく成長したのですね。
まとめ
日本スポーツ界のパワハラや暴力指導で揺れる中、選手とコーチが「友だちみたい」になんでも話せる信頼関係づくりはこれから重要視されるのではないでしょうか?
日本では「馴れ合い」のようにも捉えられがちですが、個人的には選手がリラックスして最大限の力を発揮するにはいい関係だと思います。
大坂選手とサーシャコーチのタッグで今後どんな記録を打ち立てるのか楽しみですね!


